卒業制作をつくることの意味と取り組み姿勢について
もう、5年、某女子大学の卒業制作(合板を素材に使った家具等)の指導(?)を
しています。
年々、若年化する学生へ、最初に渡して、読んでもらってる文章です。
デザインの最終図面を持ってきて「どうやってつくるんですか」ではダメ。
どんなデザイナーもそんな仕事のやり方はしていません。
「こうやって作ろうと思います」という自分なりに方法を考え、他者に伝えなければならない。
他人の手を借りることと自分でやることは一見、矛盾しているようだけど、そうじゃないです。
特に卒業制作に関しては自分の技量で製作・完成させるのだということを肝に銘じて。
外注をつかう場合でも、可能な限り図面を描き、資料をまとめ、イメージを伝えないと。
とにかく自分の思いを伝えないといけないし、それがないとよいものにならない。
今回の卒業制作はモノづくりの一連の流れというものを経験できる最後の機会。
最初から最後まで自分の手で、という作業は、おそらくもう体験できないはず。社会にでれば
通常、ある作業の一部しか受け持つことができない。妥協せず、知恵をしぼり、見栄や恥を捨て
わからないことは人にたずね、しつかりイメージを固めて自分のつくりたいものに一歩でも近づけるように努力を惜しまないで下さい。
卒業制作で取り組むこの流れというものはどのデザインの現場でも行われています。
デザイン(イメージ)、素材の選択、加工、仕上げという流れです。
家具で言えば、素材の手配、加工(カット・穴あけなど)、塗装、組み立てです。
それぞれの工程にどれくらいの時間がかかるか、スケジュールも管理しなければなりません。
コストも。完成したら撮影のために大学へ運ばねばなりません。
それは特定の人向けか大量生産か、使う人の対象範囲が広いか・狭いか。
デザイン・コスト・機能のバランスはとれているか。
デザイナーは常に、自分の中に他人の目をもたなければならないと思います。
言い換えれば自分の中の他人を満足させるモノをつくっていかねばなりません。
まず、自分にとってイイモノってなんだろうという問いかけからはじめてください。
そして、それを作りたいか。客観的に考えて、自分に作れるか。
ちょっと無理そうでも作ってみたいのか。それはなぜか。
「よくできてるな」「きれいだな」「べんりだな」「やすい」「おもしろい」「かわいい」
そして、「使ってみたい」「ほしい」
たくさんの自分にとってのイイモノがあると思います。それを集めれば、自分のモノに対しての
価値観がわかります。そして今回、卒業制作、大学生活の集大成として何をつくるかが
見えてくるはずです。
例えばハンズへ行っていろいろな素材をみて、そこから何をつくるかという発想もあるし、その逆もある。
もっとベーシックな部分では、自分の歴史。これまで育ってきた環境からたくさんのメッセージを
受けとっているはずです。でも問題意識がないとなにもみえません。
卒業したら、社会に出て、自分の腕一本でご飯を食べていかねばなりません。
バイトで収入を得るということは体験済みだと思いますが仕事はバイトではないし、
どうせやるなら自分の好きなこと、興味のあること、表現したいことでご飯たべれたらもっといいと。
その好きなことがみつかって、ようやっと人生がはじまるのではないかと思います。
「好きなことっていわれても…」という人も焦らず、まずこの卒業制作を自分に言い訳のないように
精一杯取り組んでください。出来に関してはまちがいなくへたくそです。
へたとかそうでないとかではないと思います。(周囲の評価もこの際気にしなくてよいと思います)
自分で自分を評価できるくらいがんばってください。
自分がやらなければ、なにもできないし、できていないことを、誰かのせいにすることもできません。
クールに生きている人も今回はねちっこく、しつこく取り組んでください。
たとえ、技術的には未熟であっても、自分にしかできないなにかをつくってみてください。
これからの半年間、しっかり走り抜いて、よいものを手にして、社会に出て行かれることを期待しています。
2002/5/29
しています。
年々、若年化する学生へ、最初に渡して、読んでもらってる文章です。
デザインの最終図面を持ってきて「どうやってつくるんですか」ではダメ。
どんなデザイナーもそんな仕事のやり方はしていません。
「こうやって作ろうと思います」という自分なりに方法を考え、他者に伝えなければならない。
他人の手を借りることと自分でやることは一見、矛盾しているようだけど、そうじゃないです。
特に卒業制作に関しては自分の技量で製作・完成させるのだということを肝に銘じて。
外注をつかう場合でも、可能な限り図面を描き、資料をまとめ、イメージを伝えないと。
とにかく自分の思いを伝えないといけないし、それがないとよいものにならない。
今回の卒業制作はモノづくりの一連の流れというものを経験できる最後の機会。
最初から最後まで自分の手で、という作業は、おそらくもう体験できないはず。社会にでれば
通常、ある作業の一部しか受け持つことができない。妥協せず、知恵をしぼり、見栄や恥を捨て
わからないことは人にたずね、しつかりイメージを固めて自分のつくりたいものに一歩でも近づけるように努力を惜しまないで下さい。
卒業制作で取り組むこの流れというものはどのデザインの現場でも行われています。
デザイン(イメージ)、素材の選択、加工、仕上げという流れです。
家具で言えば、素材の手配、加工(カット・穴あけなど)、塗装、組み立てです。
それぞれの工程にどれくらいの時間がかかるか、スケジュールも管理しなければなりません。
コストも。完成したら撮影のために大学へ運ばねばなりません。
それは特定の人向けか大量生産か、使う人の対象範囲が広いか・狭いか。
デザイン・コスト・機能のバランスはとれているか。
デザイナーは常に、自分の中に他人の目をもたなければならないと思います。
言い換えれば自分の中の他人を満足させるモノをつくっていかねばなりません。
まず、自分にとってイイモノってなんだろうという問いかけからはじめてください。
そして、それを作りたいか。客観的に考えて、自分に作れるか。
ちょっと無理そうでも作ってみたいのか。それはなぜか。
「よくできてるな」「きれいだな」「べんりだな」「やすい」「おもしろい」「かわいい」
そして、「使ってみたい」「ほしい」
たくさんの自分にとってのイイモノがあると思います。それを集めれば、自分のモノに対しての
価値観がわかります。そして今回、卒業制作、大学生活の集大成として何をつくるかが
見えてくるはずです。
例えばハンズへ行っていろいろな素材をみて、そこから何をつくるかという発想もあるし、その逆もある。
もっとベーシックな部分では、自分の歴史。これまで育ってきた環境からたくさんのメッセージを
受けとっているはずです。でも問題意識がないとなにもみえません。
卒業したら、社会に出て、自分の腕一本でご飯を食べていかねばなりません。
バイトで収入を得るということは体験済みだと思いますが仕事はバイトではないし、
どうせやるなら自分の好きなこと、興味のあること、表現したいことでご飯たべれたらもっといいと。
その好きなことがみつかって、ようやっと人生がはじまるのではないかと思います。
「好きなことっていわれても…」という人も焦らず、まずこの卒業制作を自分に言い訳のないように
精一杯取り組んでください。出来に関してはまちがいなくへたくそです。
へたとかそうでないとかではないと思います。(周囲の評価もこの際気にしなくてよいと思います)
自分で自分を評価できるくらいがんばってください。
自分がやらなければ、なにもできないし、できていないことを、誰かのせいにすることもできません。
クールに生きている人も今回はねちっこく、しつこく取り組んでください。
たとえ、技術的には未熟であっても、自分にしかできないなにかをつくってみてください。
これからの半年間、しっかり走り抜いて、よいものを手にして、社会に出て行かれることを期待しています。
2002/5/29
by cubit-papa
| 2005-02-03 18:10
| 家具のことば